Building An Online Cash Cow – A Complete Step By Step Guide To Affiliate Marketing
今回初めてレビューを行う洋書となります。本書はネットで収入を得る方法、主にアフィリエイトに関して基本から詳細に説明しています。
巷に溢れている「Get Rich Quick」タイプの書籍とは一線を画していて、少なくとも私には著者が正直で誠実な方だと感じますから読んでいても矛盾や違和感を感じることは少ないです。アフィリエイトに関しては素人同然でまだ最初の方しか読んでいませんが、すでにバイブル的な書物になりそうな予感がしています。
ただし本書は450ページ位ありますし、ページを開いても文字ばかりです。内容がその分たくさん詰まっているという事ですが、英語で文字を読むことに慣れていない人にはきついと思います。
なぜアフィリエイトについて勉強しようと思ったかについてはこちらの「アフィリエイト広告の設置について-追加補足」を参照してください。
注:評価はレビューをしていくごとに変わっていきます。
それではそれぞれの章ごとに感想を書いていきます。
1回目の書評:「Introduction」から「Chapter 2」までの感想
ここでは著者アントニーの紹介から始まって、ビジネスを立ち上げる際の困難や心構えなどが語られています。アフィリエイター1年生が質の高いサイトを構築していくために必要な内容をすべて含めたとのことです。
長年IT産業で働いていた著者ですが、インターネットマーケティング、ワードプレス、SEOに関する知識をほとんど持っていない状態でアフィリエイトを始めました。素人同然の彼が大きな経済的成功を収めたことは、専門知識を持っていない我々一般人にとっては心強いことだと思います。
しかし、ちょっとの作業や努力でお金を稼げるような手法は書かれていませんのでご注意ください。例えばたくさんの小規模サイトを量産して稼ぐ手法は有名ですが、そのような即物的な内容は書いてありません。最低半年から1年間は無報酬で一つのサイトのコンテンツの質と量を高めるために妥協のない継続した努力を続けることを強く勧めています。
さらに「本書の読者の大半は失敗する」など、アフィリエイトの現状について正直に語られていますから、私にとっては好感が持てました。アントニーはご自身のアフィリエイトサイトが軌道に乗るまではまったく収入がない状態でしたから、代わりに奥さんが外で働いて生計を維持していたそうです。毎日の生活も考えなくてはいけませんから結構きついですね。独身の私には真似ができませんけど。
この中で、ビジネスに関心のある読者に対してロバートキヨサキの本を読むことを勧めています。ロバートは複数の受動的な収入方法を確保するように主張されています。間違っていることを言っているわけではありませんが、私でしたら彼の本を他の人には勧めません。なぜかと言うと、ロバートに限った話ではありませんが、経済的自立を促した啓発本の多くは、安定した収入を稼ぐ事が第一のサラリーマンに否定的な記述があるからです。
ロバートやアントニーはサラリーマンとして生活していた時に大きな不満や葛藤があったと、自分の人生経験を元に話しています。そのお話は真実を元にしていますから共感を示す人は多いでしょう。
なぜ彼らがそう考えるのかは私も以前はそうでしたからよくわかるんですが、他の人の生き方を否定して自分の生き方を肯定するのは間違っていると思います。大半の人はサラリーマンとして安定した生き方を選びますが、自分の意志で選んだ生き方なんですから、誰も否定する必要はないはずです。
人の心の奥底にある不安や欲(不満も欲の一つ)を喚起し、それらの不安を解消したり欲を満たす商品やサービスを提供することで、新たな消費者需要を生み出すようなビジネス手法を、感情マーケティング(Emotional Marketing)と呼びます。感情マーケティングの考え方自体は間違っていないですが、ちょっと首を傾げることも現実には多いです。本当に人々の不安や不満が根本的に解決するならいいんですけどね。
著者やロバートはいい人には違いないと思うんですが、多分お金に対する考えで私とは根本的に異なっていると思います。
ちなみに、「金持ち父さん貧乏父さん」や「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」のような本は随分昔に読んだことがあります。ロバートのことはオーストラリアに住んでいた当時からよく知っていますし、ビジネスに関心のある友人たちとよく彼のことについて議論をしたものです。当時は彼の肉声のテープもいくつか持っていました。
2回目の書評:「Chapter 3」から「Chapter 5」までの感想
第3章ではセットアップと運営コストについて書かれています。ドメインを取得する際のチェックや購入に参考になる情報もありますが、ドメインの所有者が変わった後でも以前の所有者の効力が続いているということ自体がそもそもおかしい気がします。こんなことしているから、お金でサイトの信用を売買する商法が成り立つわけですし。
それとここでは、グラフィックデザイナーやライターを安く雇い入れる方法が書かれています。本書のまだ初めの方なのに、すでに人を雇うという説明に入るのは早すぎる気がします。自分のサイトなのに重要なコンテンツを人に書かせるという考え方が個人的に理解できません。お金を儲けるという前提だったら当然のことかもしれませんが、著者はサラリーマン的な生き方を否定されているのですから、同じサラリーマンの立場の人を自分自身で生み出していることに矛盾は感じないのでしょうか?私だったら例え本人がやりたいと望んでいても、自分が嫌なことを他人にやらせるつもりにはなりません。
第4章では自分のウェブサイトのテーマ選択について書かれています。一通り読んでみましたが、私は書きたいテーマがあればそれでサイトを制作するだけですから、競合がどうとかはそれほど重要な事柄ではありません。競争が激しい分野だから他のニッチなテーマにしようなんて器用な考え方ができる性格だったら、そもそもサイトを作ろうともしなかったでしょう。あくまで私個人はそう感じただけですから、他の読者の方にはグーグルなどでキーワードを使用した潜在需要のチェック手法は参考になるかもしれません。要はどれだけ儲かるかを想定する下調べの方法が書かれています。ビジネスで言ったらマーケティングリサーチといった所でしょうか。
第5章ではCMS(Contents Management System)であるワードプレスがアフィリエイトサイト制作に適していることをいろいろな視点から説明しています。私はすでにワードプレスを使って自分でサイトを運営しているわけですから、特に勉強になった内容はありません。強いて言えばセキュリティの説明の中で、ハッカーのハッキングに対する防御方法が10項目に分かれて解説されているのが良かったです。
今回は全体的にあまり参考になる内容が書かれていなかったので残念に感じました。
つづく
備考:
他にも何冊かアフィリエイトに関しての洋書を読んだのですが、それらはお世辞にも内容の質が良いとは思えませんでした。
私は簡単に素早くお金を儲けよう的なノウハウ主体の本は読みたくありません。理由は簡単で、読み進めるごとに心が苦痛を感じるからです。一方ビジネス的に考えると、そのような手法はすぐに通用しなくなるということもあります。もちろんそれらの本にも為になりそうな内容は書かれていますが、私は結果ではなく過程を重視しますから、著者の人間性に信用が置けない本を最初から参考にするつもりはありません。
それにこちらの記事「本を読むことの大切さ-ネットやテレビと本で得る知識の違い」でも書きましたが、読んでも心の成長が期待できないような本は、私にとっては時間の無駄です。
他にタイトルは立派なのに内容が稚拙な本もありました。たくさんのレビュアーが高い評価を付けていましたが、他人の評価も時には当てにならないものだと感じます。
本書は洋書としては珍しく、E-book(Kindleなど)では購入できません。Introduction辺りでも書かれていますが、彼も最初はアフィリエイト関連の本をよく電子書籍で購入して読んでいたみたいです。ご自身の書籍を電子書籍化しないのには何か理由があるのかもしれません。
最後にアフィリエイト広告を嫌う方が一般的に多いのはわかっていますし、なぜ嫌うのかも多分理解できますが、私はビジネスの一つとしてこれから本格的に学んでいこうと思います。
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