本格ビジネスサイトを作りながら学ぶ WordPressの教科書
「WordPressの教科書」は、よろずがWordPress4大書籍の1冊と位置付けている本です。しかし、他の3冊の本と比べると方向性が異なるので、注意が必要だと感じました。つまり、何を期待して、価値をどこに置くかで、本書の印象や読後の感想がまったく異なることになるでしょう。
例えば、本の内容を一通り勉強すれば自分のオリジナルサイトを作れると期待した方は、読後残念に思う人もいるかもしれません。私は少なくともそうでした。
手順通りに進めれば特に苦労する箇所もなく、サンプルサイトは出来上がります。HTMLとCSSのコードの大部分は、あらかじめサンプルコードとして提供されていることが大きな理由ですが、そのために学んでいるというよりは、作業をしているという感じが常にありました。ちなみに、CSSに関する説明が一切ありませんので、本書を完全に理解しようとされる場合、HTMLとCSSに関する理解と共に、専用の辞書も必要だと思います。ただし、本書にはWordPressを学び始めた当初に知っておきたい知識も含まれているので、初心者の頃は必要な部分だけをかいつまんで読み、慣れてきたらHTMLやCSS含め、一から理解するように順序立てて読むなど、自分のレベルに応じて本書を利用すると良いと思います。
自分のサイト制作に生かそうと思って購入したので、最初見込み違いだったかな?と思たんですが、読み進めていくうちに、当初の目的とは違った有用性を本書に感じるようになりました。
本書が有用だと感じる部分は、WordPressを学ぶ際に多くの人が感じるであろう疑問点をうまく拾ったFAQコラムや、他の書籍で載っていないような幅広い内容を扱った点にあると思います。当初に本を購入した目的とは異なりますが、結果的に自分にとってWordPressを学ぶ上で本書が4大書籍の1冊になった大きな理由です。
具体的にどこの部分が有用だと感じたか、章ごとに簡単に説明していきます。読者の方が私と同じ部分に有用性を見出したなら、本書を手に取る価値があると思います。
Chapter1:まず表示させてみよう
本章では、すでにある程度出来上がったサイトの型枠に必要情報を埋めていったり、サンプルコードを修正する作業が主になります。
Chapter2:基本サイトの構築
この章で一通り基本的に動作するサイト構築まで進みます。
Chapter3:ユーザビリティ向上
ここで、学ぶ内容、サブナビゲーションの設置、パンくずナビの表示、「トップへ戻る」のリンク、ページネーションの設置などは、通常のサイトで当然に実装されている機能ばかりですから、ユーザビリティ向上以前に学ぶべき必須の項目だと思います。
Chapter4:SEO対策
ここから本書特有の内容が多くなってきます。STEP4-2の「更新情報サービスを設定する」や「メタキーワード、メタディスクリプションを出力させる」は私が購入した他の書籍には書いてない内容ですので、貴重だと思います。
Chapter5:コミュニケーション
Facebookやtwitterなどのソーシャルサービスを利用する方には、役に立つ情報だと思います。よろずは、Akismetプラグインを導入し、スパムコメントを排除する方法が参考になりました。
Chapter6:アクセス解析
WordPress関連の書籍でアクセス解析に言及しているのは、本書以外見たことがありません。サイト公開後に必要となる運用関連の知識や設定法を記述していることは、本来必要なことなんですが、ちょっと珍しいと感じました。
Chapter7:SSLによるセキュリティ
ビジネスサイトを制作するわけですから、セキュリティに関する心配りも重要でしょう。このパートも他書では扱っていないので、特徴的に感じます。
Chapter8:発展的な機能を使う
ここでは主にカスタム投稿タイプ、カスタム分類(タクソノミー)などの機能を使ったページにカスタマイズする方法を解説しています。プラグイン「Custom Post Type UI」を使用してカスタム投稿タイプを設定していますので、手動により設定したよろずにはあまり関係がなかったです。
Chapter9:プラグインを作成する
ショートコードを用いたGoogle Mapsの地図を表示させるプラグインと、Facebookの管理者IDを出力させるプラグインの作成方法を解説しています。該当する機能を頻繁に利用する方は、この章を参考にしながら、プラグイン化すると良いと思います。
Chapter10:ハイパフォーマンス化
処理や表示の高速化を実現するノウハウが説明されています。ここでは、パフォーマンスの測定にFirefoxのアドオンであるFirebugを用いています。Firefoxのアドオンには、他にもHTMLやCSSの文法チェックができたりしますので、ブラウザにFirefoxを利用されている方は、ぜひ活用してみてください。
APPENDIX:
よろずは、本書をWordPressを学ぶ際の2冊目に購入しましたので、このAppendixの内容が実は一番当時参考になりました。WordPressのインストール方法や、xmlデータのインポート法、XAMPPを用いたローカルテスト環境の構築(本書が一番詳しいです)、デバッグの効率化を図る方法など、非常に参考になりました。
コラム
コラム記事が本の随所に書かれていますが、これらの内容も特徴的ですし、初心者の頃の私には参考になることが多かったです。独学ですと通常気づかない情報もありますし。
まとめ
以上で「WordPressの教科書」のレビューを終わります。本書の特徴として、サイト制作よりもサイト公開後の運用に関する設定やカスタマイズに注力した本と言えます。そのため人によっては想定した内容と異なり、がっかりするかもしれません。しかし、ご自分でサイトを制作するなら最終的にネットに公開するわけですから、その時に役に立つかもしれません。後、よろずの場合は、初心者の時に購入したんですが、当時は本書のAppendixやコラム部分の内容も頻繁に参考にしたので、必要な時期に本書を開いて知りたい知識を逐次勉強するスタイルが良いと思います。
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