山で暮らす愉しみと基本の技術

山や田舎など、自然豊かな場所での暮らしを考えている方にお勧めする本です。

自然豊かな場所では、当然そこで生き抜くための知識や技術が必要となります。しかし、我々現代人は親が林業や農家でもない限りそのような教育を受ける機会すらありません。自然の中で暮らす技術は高齢化により失われつつあります。本書は失われつつある技術を引き継ぐという社会的使命をも背負った本と言えるでしょう。

興味を持つと思われる方は、多分下記のいずれかに該当するんじゃないでしょうか。もし該当する項目があれば読んでみてください。もちろん読むだけでなく、実技も並行して練習された方が効率が良いと思います。
1. 林業
2. 自然農
3. 自然食
4. 自然素材
5. 自給自足
6. 職人的手仕事
7. 自然の暮らし

ちなみに、よろずのニワトリ小屋は本書の設計を基本にしています。

序章も含めると全部で5章まであります。
序章では山暮らしに必要な心構えや、何が必要でどんなことが出来るかなど一般的なことが説明されています。

第1章では木を伐採したり、草を刈る道具の紹介、チェーンソーの使い方やメンテナンスの方法などが語られています。他に木の具体的な伐採方法や、草刈りの方法、木の運搬方法など、丁寧に一通り説明しています。

第2章では石垣の基礎から実際の積み方まで説明しています。

第3章では水の管理全般の説明です。水の確保は生きていくのに必要不可欠ですし、定期的なメンテナンスや補修法を知っておくことも大事です。

第4章では小屋を作ります。小屋の一通りの作り方を学べます。私が建てたニワトリ小屋の詳細は、「自然卵養鶏法」のページで紹介してあります。

第5章は火に関する説明です。火を焚く意味、野外カマド、鋳物カマド、囲炉裏、火鉢などの利用法を説明しています。

本書に書かれた小屋の作り方を参考にし実際に作ってみて、私は非常に参考になったと感じています。他の章も一通り読みましたが、住宅街に住んでいるため実践はできませんでした。ただし、第4章の内容でスムーズに小屋づくりができたので、他の章も実践的な内容だと思われます。読んだ限りでは他の章も丁寧な説明でわかりやすいと思いました。

後、「木・土・水・火」と自然の循環を考えて書かれていますので、単なるハウツー本ではなく、自然を大事にし、自然に対して敬意を払って共に生きようという真摯な印象を受けました。

このような知識は一見地味ですが、時が流れても情報の価値が変動しません。常に文明の利器に頼れる状況で生活できるとは限らないわけですから、基本的なことは覚えていても損はないと思います。山を所有している方、田舎で農家になる予定の方は、すぐに実践で使える内容満載なのでお勧めです。

しかし著者も言っているように、若い頃に肉体労働のアルバイトを経験していたことが田舎で生活する時に役立ったとあります。つまり、自然に沿った生き方や農業で生活していくならば、体力がないと話になりませんのでお気を付け下さい。私はやりたくても無理ですが、就農に向けて頑張っている方達を応援しています。

追加補足:
最近、同じ著者によって「楽しい山里暮らし実践術」という本も出版されたようですので、こちらも紹介しておきます。

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