銀さんの太くて短い人生観-銀魂より
いろいろな本を読んでいる最中に、「死生の超脱」について考えていたんですが、ふと銀魂の銀さんがお医者さんにかかっているシーンを思い出したので、そこからちょっとお話を膨らませてみたいと思います。
シーンの概要
銀さんは甘いものが大好きで、糖尿の気があるにも関わらず食べ続けていました。お医者さんにたまたま通ったところ、それを注意されたんですが銀さんはすまし顔でこう答えました。
銀さん「ああ、もうその辺割り切っているんでぇ、好きな物食って太く短く生きるって」
お医者さん「これ見て、」(右上の写真)
銀さん「もういいですってぇ、ビビんないっすよぉ。俺そういうの言われ慣れてるからビビんないっすよぉ」
お医者さん「このまま行ったらねぇ、糖と尿が超反応起こしてコーマンが爆発します」(右下の写真)
銀さん「っっっっ!!」(下の写真)
生きるとか死ぬとか気にしないで余裕を吹かしてた銀さんですが、股間が爆発すると聞いた途端にびっくりしたのは何故でしょうか。
とても自分が想定していた死に方じゃなかったわけですから、心の準備が出来ていなかったんでしょう。ある意味笑えるシーンなんですが、よくよく考えてみると結構心理の的を射ているような気がします。
銀さんはサムライですから、戦いの中で死ぬことは何とも思っていないかもしれません。アニメでも戦いの部分はかっこよく描かれています。しかし、さすがの銀さんでも股間が爆発するような死に方では考え直してしまうのかもしれません。
でも、なぜでしょう?かっこ悪いからでしょうか?
現実の戦争であれば、アニメのように綺麗でかっこいい死に方のできるケースの方が稀だと思います。
少なくとも私は、いくら正しくて太く短く生きると言っても、股間が爆発するような死に方は現状受け入れられません。そんな覚悟はないからです。
多分、銀さんのように自分に都合の良い理想的人生観や死生観を持っているからだと思います。皆さんはどうなんでしょうか?
いくら天地万物一体で自然に還ると言っても、死ぬのは正直怖いです。あの目の前が真っ暗になるような絶望感や苦しみは筆舌できません。まだまだ未熟なんだと痛感させられます。
奇遇な事に、銀さんは万年金欠な「よろず屋」をやっていましたね。私のニックネームである「よろず」と同じです。性格は違いますが、どこか根っこの信念で似ている部分があるのかもしれません。ちなみに本記事とは関係ありませんが、ゼノギアスのシタン先生も「よろず屋」をやっていました。
書いている最中に気づいたんですが、若い時に銀さんが学んだ塾には高杉晋作もいましたから、官憲に捕らわれた先生って吉田松陰のことですよね。松陰は陽明学者ですから、銀さんは若い頃に『陽明学』を学んでいたのかもしれません。
『陽明学』は自分の心に問うて、正しいと信じることを実践する「致良知」「知行合一」の学問ですから、銀さんの損得に捉われない正義感ある行動も納得できます。
昔の武士(志士)である大塩平八郎・河井継之助・吉田松陰・高杉晋作・西郷隆盛などは、皆死ぬことがわかっていても信念を持って突き進んだわけですから、並々ならぬ覚悟を持っていたという事なんでしょう。死生を超脱した豪傑たちの心境とはどのようなものだったのか、興味があります。
銀魂からふと気づいたことを書いてみたんですが、アニメから気づかされることは意外と多いと感じます。結構好きな作品だったので、終了してしまった事が残念です。
おわり