レノボ 「ThinkPad X1 Carbon」の使用感レビュー (あっさり風味)

絶妙サイズのウルトラブック

本機「ThinkPad X1 Carbon」は、レノボ初のウルトラブックとして発売された機種です。さすがに高価格帯のモデルだけあって、見た目にも高級感がありますし、薄くて軽い割にはキーボードもしっかりとタイピングできますので、実用性も十分だと感じました。

すでに最新のX1 Carbon(2014年版)が発売されていますが、これは2012年度発売の旧モデルを対象としたレビューとなります。

購入の動機:
正直、このパソコンを購入する予定はなかったんですが、ここ数年のThinkPadの変化が激しく、自分が求めていたモノが次々に消え去っていくので、何とかThinkPadらしさを維持していると思われる本機を、手に入れられる安い時期に確保しておこうと思った次第です。円安でパソコンの値段は右肩上がりですし、さすがに5段キーボードや一体型パッドはちょっと厳しいと感じました。

また、パソコンを持ち歩いて使用することもあるので、X230のようにHD解像度(1366×768)ですと、画面が手狭に感じる事があります。ですから、大きすぎず小さすぎない、14インチのHD+(1600×900)液晶は非常に魅力的に映りました。

結論から言うと、頻繁に持ち歩いて大画面で作業したい方にはお勧めだと思います。安っぽくもないので、所有欲も満たせるでしょう。個人的に一つ大きな不満を挙げるとすれば、液晶の品質についてです。他のレビューでも書いていますが、私の目は非常に敏感ですので、液晶が悪ければ他の部分がどんなに良くても、台無しになってしまいます。

レノボ「ThinkPad X1 Carbon」の紹介

1.到着

ThinkPad X1C 到着

商品が到着しました。今までと比べて、特に目新しい部分はないです。

2.開封

ThinkPad X1C 開封

T430sと同じような梱包ですね。

電源アダプタ

このモデルから採用された、四角型の電源コネクタです。これのおかげで薄型化が可能になりましたが、他の旧モデルに使用されている電源ケーブルと互換性がありませんので、新旧のThinkPadを何台か使いまわしている人にとっては、使い勝手が悪くなると思います。それと、これはラピッドチャージに対応しているためか、標準の65Wではなく大容量の90W電源アダプタが採用されています。

いくらX1 Carbonがコンパクトでも、毎日バッグに入れて持ち歩くことを考えると、この大きな電源アダプタではモバイルの利便性が相殺されてしまいます。バッテリのみの駆動時間は約4時間ですので一日持ちませんし、アダプタは常時必須となるでしょうから、携帯性は重視すべきだったと思います。

3.外観

X1 Carbon キーボード点灯

上記の写真は、キーボードライトを点灯した状態です。暗い部屋で使用すると、ぼやっと青白く光って綺麗ですが、横から見ると光が漏れるので若干まぶしく感じるかもしれません。

非常に洗練されたデザインで、剛性も高く、ThinkPadの名に恥じないです。旧モデルは2014年発売の新型のX1 Carbonと異なり、クリックボタンが独立していますので、トラックポイントとの併用も旧型のThinkPad同様に扱えます。

ただし、ウルトラブックという特性上、拡張性が少なく、USBポートも2つしかありません。私の場合、無線マウスとUSBオーディオを常時使用しているので、USBハブなどを使用してポート数を増やさないと使いづらいです。

メモリは直付けですし、SSDも容易に交換できません。さらにバッテリの交換も自分でできないことを考慮すると、メンテナンス性はほぼないと考えた方が良いです。

ですから購入する場合は、バッテリ交換を含んだ長期保証に加入することが条件になると思います。X220やX230ですと、ネットで代替パーツがすぐ入手できるので、拡張保証に入る意義も少ないんですけどね。

X1 Carbon キーボード

キーボードはタイピングしやすく、極薄のウルトラブックとは思えない程十分な性能です。また、キーボードライトはあると便利ですね。旧TシリーズやXシリーズに標準で備わっていた、Thinklightでもキーボードを照らすことができるんですが、それよりずっと使いやすいと思います。

ファンクションキーの配置も、ユーザーの利便性が考慮されており、7段クラシックキーボードのように違和感なく使用できると思います。X230のアイソレーションキーボードでは、ファンクションキーが繋がって配置されていましたので、クレームが多くて本機種で変更されたんでしょうか?

唯一残念な液晶

この「ThinkPad X1 Carbon」を購入する際、かなり時間をかけて下調べを行いました。それにも関わらず、液晶の品質だけは、予想に反して悪いと感じます。大手サイトの記事には、見やすい液晶が搭載されていると書いてありましたし、個人のレビューでもあまり否定的に評価している人が少なかったので、そこまでひどくはないだろうと思っていたんです。

網戸液晶(Screen Door Effect)や、青っぽいTN液晶に不平を言うユーザーは見かけるんですが、私のように目の疲れやすさで不満を感じる人は少ないようです。ですから、他の大多数の人達にとっては、この液晶でも全く問題ないんでしょう。私の目が特殊だという事で、済む話なんだと思います。

ちなみに、搭載されていたのはLG製のTN液晶で、X230等のIPS液晶と比較した場合、色や見やすさの点で見劣りします。T430sでも思ったんですが、少なくとも高級モデルに載せる液晶ではないような気がします。

全体的な感想

この「ThinkPad X1 Carbon」は、全体として見た場合、間違いなく素晴らしいパソコンです。持っても軽いですし、画面を広く使えるので、重い作業をしないのであれば、普通にメインPCとして使用できる人も多いと思います。

さらに最初からSSDを標準搭載している、というのも大きなポイントです。他のThinkPadはSSD搭載がオプションになっており、非常に高価なので、HDD搭載のモデルを購入して後から自分でSSDに換装される方が多いと思います。そのため、新たにSSDを購入する費用を別に準備しておかないといけません。T440sやX240などのモバイル機種は、今後SSDを標準搭載にするべきです。HDDが完全に足を引っ張ってしまい、せっかくの高性能CPUを選択しても遅くて意味がありません。

また、ThinkPadは実機を実際に触ってみないとわからない部分が多いと感じます。安くない買い物ですし、普通の家電店に置いていないので、自分で前もって確認してから購入できないのが痛いです。商品の品質に満足できない場合は、返品も認めていただきたいと思ってしまいます。海外では普通に返品できるのに、なぜ日本ではできないんでしょうか。

結局、損を覚悟で手放すことにしました。ちなみに、私からパソコンを購入された方は、新品同様で大喜びされていましたので、それは良かったと思います。

僕の考えた最強ThinkPad

14インチのノートパソコンでしたら、HD+(1600×900)解像度で、X230に搭載されているのと同品質のIPS液晶を搭載していただければ、少なくとも私にとっては神機になります。要は、X200シリーズをそのまま14インチ化したような、X440みたいなモデルが欲しかったです。もちろん、キーボードやタッチパッドも従来のままが良いですが、最低限変更するにしても、旧来の良い部分はちゃんと受け継いで欲しいと思います。

2014年度の新モデルでは、5段キーボードになっちゃいましたし、レノボはどこに向かおうとしているんでしょうか。いずれにしろ、ThinkPadは新製品が出るたびに残念な方向に向かっていますので、次のモデルが発表されるまでは新規購入は控えておきます。(本を買い過ぎてお金もないですし)

まとめ

これで、レノボ「ThinkPad X1 Carbon」のレビューを終わります。ウルトラブックの弱点を理解した上で、さらに液晶さえ気にならなければ、文句なく素晴らしいパソコンです。T520やT430sでも似たような事書きましたけど、液晶さえ満足できればメインPCはX220からこちらに移行するつもりでした。

パソコンを使用する時間が長いので、どうしても完璧なものを望んでしまうのかもしれません。しかし、自分が設計に関わっているならまだしも、他人がコストと利益を厳しく考慮しながらThinkPadを開発している以上、この世に完璧なものなど最初からあるわけないんです。自分にとって何が本当に大事なのかを見極め、それらの要求を最低限満たしたメーカーやモデルから、妥協して選択するしかないんだと思います。

おわり