レノボ 「ThinkPad X220」の使用感レビュー

モバイルとしても、メインとしても利用できる、頼れる万能パソコン

今更「ThinkPad X220」のレビューなんかして何の意味があるんだ?と思われるかもしれません。

実は2012年の終わりごろから2013年の初めごろまでに、よろずが仕事で使うパソコンの選定を行っていました。このX220はその時に購入したものです。今更レビューする意味はないですが、せっかくいろいろなPCを比較検討したのでそれらの記録をアップしておきます。

以前は使用するパソコンに拘ることはあまりしませんでした。パソコンのモニターを見て目が疲れやすいと感じても、単に自分の体質が原因(実際、光に敏感な方だと思います)だと思っていましたし、使用に若干違和感を感じてもパソコンを変えずに自分の考え方を変えることでなんとかしてきました。

しかし、2012年の後半ごろからパソコンを使用したデスクワーク中心の仕事に移行しつつあったので、これから毎日長時間付き合う相棒なわけですから、仕事道具であるパソコンは妥協せずに選択しようと思った次第です。

今考えると急激な円安が始まる前でしたから、様々なパソコンが非常に安価に購入できて良かったです。そのおかげで異なったパソコンの比較対象が容易に行えました。

それでは本題のX220のレビューに入ります。

よろずがPCに求めていたのは次の条件となります。

実用性

打ちやすいキーボード
目が疲れない非光沢液晶
機能性重視(質実剛健)のデザイン

静音性

静かな部屋で作業するので必須

堅牢性

フィールドワークなど外で持ち歩くために必要

携帯性

フィールドワークなど外で持ち歩くために必要

メンテナンス性

最低でも自分でメモリ、HDD、バッテリーくらいは交換したい

上記の条件を満たしたパソコンはThinkPadに限らずたくさんあるでしょうが、メーカーやブランドをまず絞り込まないと選定に迷いそうでしたし、予算にも限度があるので、最初からビジネス用パソコンとして定評のあるThinkPadに限定しようと思っていました。ThinkPadとして一番最初に購入したのはT520iなんですが、使ってみたら思いのほか使用感が良かったからという理由もあると思います。(ここ2,3年のThinkPadの新製品ラインナップを見ると、実用性や質実剛健というよりも、デザイン重視にシフトしている印象を感じます)

逆にCPUの処理性能などはそれほど重視しませんでした。高速な処理性能よりも静音性の方がよろずにとっては大事だと感じたからです。以前所有していたPCはよくファンが回ったりしたので、その度に作業の集中力が途切れたことが影響していると思います。

現在X220はメインPCとなっています。他にX220iという型番の最後にiが付いたモデルも所有しています。X220との違いは、CPUがCore i3か否かというだけです。それ以外は変わりません。X220はメインPC、そしてX220iはモバイル用、バックアップ用PCとして使っています。それぞれの詳細スペックを下記にまとめます。

X220の詳細スペック([カッコ]内はX220iの仕様です):

CPU Intel Core i7-2640M [Intel Core i3-2350M]
メモリ 4GB x 2 [2GB x 2]
HDD/SSD 500GB(5400rpm)⇒サムスン製256GBSSDへ換装 [320GB(7200rpm)]
ディスプレイ 12.5型ワイド 非光沢 HD(1366×768) IPS液晶(LG製) [TN液晶(LG製)]
グラフィックス インテル HD グラフィックス 3000 (CPU内蔵) [同左]
バッテリ 6セル Li-Ion [同左]
OS Windows 7 Professional 64bit [Windows 7 Professional 32bit]
ケース 天板 (ハイブリッドカーボンファイバー) 本体(マグネシウム合金) [同左]
ワイヤレス Centrino Advanced-N 6205 AGN 2×2 [Centrino Advanced-N 6250 WiMAX 2×2]
Bluetooth Bluetooth3.0 [同左]
USB USB3.0x1, USB2.0x2 [USB2.0x3]
カメラ 720p camera [同左]
ビデオ Display Port & VGA [同左]

それではX220のレビューを書いていこうと思います。

1. 購入と箱開封

X220の箱

X220箱開封1

X220とX220iの箱サイズ比較1

気づいたんですが、X220の箱はX220iの箱と比較してサイズ小さめですね(右図と下図参照)。運送コストの節約でしょうか。

X220とX220iの箱サイズ比較2

X220箱開封2

2. 質実剛健なデザイン

昨今の他メーカーによるおしゃれなデザインPCをまったく意に介していないようなX220の質実剛健なデザインは、よろずのテイストに合っています。ただ、近年のレノボ製品を見ると違和感を感じることもありますが。わざわざ他メーカーと同じ土俵で競争することはないと思うんですけど。

注:写真はX220iです。

X220 全体図

ThinkPad-X220-外観図

X220 側面左図

ThinkPad-X220-側面左図X220だとCPUにCore i7を選択しないとUSB3.0にならないんですよね。メインPC選択時にX220とX230でどちらが良いか悩んだんですが、最終的にX220を選択した理由として、VGAコネクタとディスプレイポートの違いが多少影響したかもしれません。外部ディスプレイと繋げる為のVGAコネクタは、X220の方が繋ぎやすいと思います。それと、バックアップ用PCはメインのX220とできるだけ互換性を保ちたかったのでX220iにしました。X220とX220iはどちらも通常のディスプレイポートですが、X230はミニディスプレイポートのため、X230を選択するとコードを買い直さなくてはなりませんでしたし。

X220 側面右図

ThinkPad-X220-側面右図LANコネクタが右手前にあるのが理解できませんが、無線で使っているので特に気になりません。それと、USBコネクターの位置を見る限り、マウスは有線じゃなく無線で使うこと前提なのでしょうね。ねじ一本取り外すだけでHDDからSSDに換装できる構造は、素晴らしいと思います。

X220 天板図

ThinkPad-X220-天板図カーボンファイバー製の天板です。ちなみにX1 Carbonは、よりグレードの高い材質のカーボンを使用しているとのことですが、X220とどれだけ堅牢性が違うのか興味があります。

X220 底面図

ThinkPad-X220-底面図バッテリはX230モデルからセキュリティチップが内蔵されていて、それより古いモデルのバッテリの使い回しができないようになっています。バッテリ交換を行わないなら関係ない話ですけど。

3. 長時間タイプしても疲れないキーボード+タッチパッド

ThinkPad-X220-キーボードクラシックキーボード採用の最後のモデルとなります。このモデル以降、全部のThinkPadはアイソレーションキーボードに移行します。どちらのキーボードも試したんですが、最終的に私はクラシックキーボードが一番自分に合っていると感じました。よろずはよくミスタイプをするので、DeleteキーやBackspaceキーを頻繁に利用します。クラシックキーボードのキー配置ですと、Deleteキーを押すときは薬指、Backspaceキーを押すときは小指と役割分担ができるため、小指が疲れにくいんです。打鍵感はアイソレーションの方が良いと感じました。ミスタイプが少なくなれば、アイソタイプのキーボードも違和感なく受け入れられるようになると思います。

4. 目が疲れず見やすい液晶

よろずは目が非常に疲れやすい体質です。そのため、目に優しい液晶かどうかはPC選択時に非常に重要な項目となりました。下記の写真はX220のLG製TN非光沢液晶(左)とLG製IPS非光沢液晶(右)の比較です。

ThinkPad X220 TN vs IPS 液晶比較左のTN液晶は青っぽいと感じますね。一方右のIPS液晶は多少黄色っぽく感じます。見やすいのはIPS液晶です。色がくっきり見える感じです。目の疲れにくさに関しても、IPS液晶に分があります。ただ、TN液晶が疲れやすいかと言うとそうでもありません。

ThinkPad X220 TN vs IPS 上から液晶比較上から見ると一目瞭然だと思いますが、IPS液晶は色が反転せずに綺麗に見えています。

ThinkPad X220 TN vs IPS 下から液晶比較下から見るとちょっと写真ではわかりずらいですが、IPS液晶の方が幾分しっかりと表示されている感じです。

液晶まとめ:
視野角が広くて、輝度が高く、色がくっきり綺麗に見えるIPS液晶の方が総合的にTN液晶よりも勝っていると思います。ただ、TN、IPS両方とも、仕事用として使えるとよろずは感じました。

注:AUO製TN液晶やSamsung製TN液晶に関しては、X230やT430sのレビューを参考にしてください。

5. 高い静音性

このX220は、標準電圧版の比較的高性能なCPUを採用して、かつサイズがコンパクトな割に案外ファンが回りませんので静かです。静音性に定評のあるフクロウファンを採用していることと、排熱設計がしっかりしているためと思います。でも、SSDを使用することが前提での話です。HDDはSSDに比べて発熱が多いのか、全体的にファンが回る頻度が多かったです。ちなみに、HDDからSSDへの換装はねじ一本外すだけで簡単に交換できます。

ThinkPad-X220-HDD取出し

X220(Core i7-2640M)+SSDで使用する場合:
基本的に静かです。気が付いたようにたまにファンが回り始めることがある位です。

X220i(Core i3-2350M)+SSDで使用する場合:
ほとんど静かです。というか、PCを使用していてファンの音に意識が向いたことがありません。

静音性のまとめ:
できるだけ静かな環境が欲しい時は、性能、発熱共に低めのX220i+SSDを使用しています。ほとんどファンが回らないため、PCが動作しているかどうかが音で判断しにくいレベルです。

6. パフォーマンス

動画編集や3Dソフトなど重い処理を必要とするアプリは使いませんから、CPUパワーもさほどいらず、i7とi3で体感的にあまり変わりませんでした。

7. 無線LANとWiMAXの感想

搭載している無線モジュール:
X220:Centrino Advanced-N 6205 AGN 2×2
X220i:Centrino Advanced-N 6250 WiMAX 2×2

無線LAN

無線LANは、X220、X220iの双方共2つの内蔵アンテナを使用しています。以前所有していたデスクトップパソコンは、無線LANの親機から離れて設置していたためか、頻繁に接続が切れましたが、このX220は同じ場所でも安定して無線接続を維持できています。無線接続関係のトラブルから解放されたのは、ありがたいです。

注:過去よろずが経験した無線の接続トラブルに関しては、後の別の記事でまとめて説明する予定です。

WiMAX

X220iに備え付けられている内蔵WiMAXをちょうど外出先で使用する機会があったので、その使用レポートを簡単に書いておきます。接続環境は、市街地の比較的開けた場所の一軒家で、窓際に位置した場所からのワイヤレス接続となります。

まず、WiMAXのアクセスポイントが近くにあるか画面上で検索すると、アンテナが表示されます。信号強度が常に10%から30%の間をいったりきたりするので、当初感度が悪すぎると感じましたが、一応普通につながりました。(ちなみに、無線LAN使用時の信号強度は99%)

接続速度を確認すると、下りが700kbpsで、上りが80kbpsでした。下りは私の用途では十分ですが、上りの速度はちょっと遅すぎますね。近くにビルなどありませんから、電波が乱反射するようなマルチパス問題も考えにくいですし、単にノートパソコンの送信出力が弱いのかもしれません。動画などは普通に見れますが、ネットサーフィンを行っているともたつきを若干感じる程度です。

今のところ外出時にたまに使用する程度なので、このパフォーマンスに不満は感じませんでしたが、毎日使用することが前提だとちょっと遅く感じるかもしれません。

よろずの場合、自然の多い所にPCを持っていくこともありますから、X220やX230などでWireless Wide Area Network(WWAN)に公式対応してほしかったです。WWANモジュールを海外から個人輸入して取り付けるという方法もあるんですが、保証期間内はあんまりサポート外の行為はしたくないですし。

8. バッテリ

使用機種をX220とX220iにした理由の一つが、バッテリの互換性です。X230からバッテリにセキュリティチップを搭載するようになったので、X220のバッテリがX230で使い回しができないようになりました。

9. メンテナンス性

ThinkPadの良いところは、詳細なメンテナンスマニュアルが公開されていることです。HDD、メモリ、バッテリ、キーボード、無線モジュールの交換等が容易にできます。保証対象外になるかもしれませんが、液晶交換の方法などもマニュアルに掲載されているのは、いざという時のために安心感があります。

ThinkPad-X220-分解図

10. X220の独断と偏見による数値評価[カッコ内はX220iの評価]

コストパフォーマンス: 6 [5]
物は良いです。でもちょっと定価が高いです。まあ一度購入したら頻繁に買い換えるようなものでもないと思いますから、何年も使用すること前提でしたら、コストパフォーマンスは悪くないと思います。

性能: 7 [5]
第2世代Sandy Bridgeの標準電圧CPUにHD3000グラフィックスは、通常用途で困ることは少ない十分な性能を持っていると思います。

ディスプレイ: 10 [8]
IPS液晶はまったく文句がありません。画面が綺麗だと思いますし、何より目が疲れません。TN液晶は全体的に青っぽいですが、仕事用途でしたらあまり気になりませんでした。

携帯性: 8 [8]
この12.5インチは普段持ち歩くのには絶妙なサイズだと思います。他社と比べて1.5kgは多少重いかもしれませんが、堅牢性を高めているための重量であれば、取り扱いに余計な心配をせずに済むため、私は苦になりません。

品質: 8 [8]
ビジネス用PCとしての品質は良いと思います。所有欲を満たしてくれます。BluetoothのLED部分で光漏れがあったのが残念です。

使い心地: 10 [10]
非常に使いやすいです。使用していて気持ちが良いです。

ノイズや熱: 8 [10]
非常に静かです。ファンの音よりもハードディスクの音が気になります。予算があるなら、ノイズと発熱を抑え、操作のレスポンスを高めるためにもSSDに交換した方が絶対お勧めです。

拡張性: 6 [6]
このサイズと薄さでは、接続ポートの種類や数など多いほうだと思います。

11. まとめ

いくつかThinkPadを使用してみて、X220とX220iが今の所一番自分に合っているようです。ただ、別に他が悪いというわけではなく、自分に合うPCの選考に妥協したくなかっただけです。仮にX230にLG製の液晶が搭載されていたら、多分X220iの代わりにX230を選択していたかもしれません。